〇昨今は記録的な暖冬です。生理痛・子宮トラブル(冷え性 型)の人にとっては、とても楽に感じると思います。しかし、暖冬は人体にとって本当に好ましいことなのでしょうか?結論からいうと、あまり好ましくありません。
東洋医学的に考えると、人体には五臓六腑があり、それぞれ重要な働きをしています。肝は血を蔵から出したりしまったりする作用、心は血の運搬作用、脾は消化吸収、肺は気を身体中に送る、腎は泌尿生殖作用となります(そのうち、生理痛や子宮トラブルに直接影響するのは肝・脾・腎です)。
〇このうち冬は腎に該当し、一年のうちでも大変重要な位置を占めています。腎とは、一言でいうと「生命源」を意味します。「生命源」とは人間が生まれる大元であり、父方の精子と母方の卵子の結合したものを意味します。つまり、人体が生まれる土台に当たるわけです。この腎精先天の精を土台として、人体が造られていきます。
〇冬も同じことで、四季のうちで最も深いところに位置し、春・夏・秋の土台となります。つまり、冬を大元として春・夏・秋がつくられていくわけです。冬は寒く、縮こまる季節であるため、動物は冬眠に入り、草木も枯れ果て、多くの生物は不活動期に入ります。しかし、外から見ると活動していないように見えても、実際には身体の内側で着々と活動の準備をしているわけです。たとえば、人間でも睡眠中は外から見ると何もしていないように見えます。しかし、内側では活動のための準備をしているわけであり、睡眠があるからこそ活動もできるわけです。睡眠不足や徹夜は、身体に大きな負担がかかることからもお分かりでしょう。同じように、冬が冬らしくないということは、一年という期間で考えると睡眠不足と同じような状態になり、春を迎える準備ができません。冬が寒くないと身体が活動の準備をしないのです。
〇具体的に、暖冬が生理痛・子宮トラブルにどのような影響を及ぼすかというと、春に気血を伸びやかにすることができず、肝を痛め、夏に気を発散できずに心を損ない、秋に収斂できずに肺を不活発にし、冬に自然治癒力を発揮できずに腎を病む、という現象が起きてきます。そして、それぞれの季節の間にある脾(≒胃腸)もフル活動できません。つまり、睡眠不足であると、昼間にフル活動できないのと同様に、五臓六腑がフル活動できない不完全燃焼となってしまうわけです。そのうち、春に活性化する肝、それぞれの季節の間で働く脾、冬に活性化す腎は生理痛・子宮トラブルと密接に関係しているため、一層生理痛・子宮トラブルを悪化させる可能性も否定できません。
〇これらは非科学的と思われるかもしれませんが、長い間の経験がもたらした知恵・統計であり、かなり信憑性のある話です。それは、大昔の人がつくった暦(こよみ)が正確に時を示すことを考えてもお分かりでしょう。冬は自然の寒さで身体を引き締めて、春の準備をします。植物であれば種をあらわします。春は冬の寒さの中で内包した生命力もとに伸びのびと活動し、同様に発芽します。夏は積極果敢に新陳代謝し、青々とした葉で十分空気を吸って吐き出します。秋は冬の準備し、種をつくります。こういった自然の営みが、大きな意味での体内時計(バイオリズム=生命の息吹)を活性化するのです。
〇朝(春・肝)起きて、昼(夏・心)に働き、夕方(秋・肺)に仕事を終えて、夜(冬・腎)に寝る、といった一日の生活においても同様のことがいえます。しかし、昨今の真夏の異常な暑さなどを見ても、これらの生命リズムが形成しにくくなっており、それが生理痛・子宮トラブルのみならず、半健康人の増加に影響を与えているといえるでしょう。食事、睡眠、運動が健康にとって大切であることは、すでに述べました。しかし、これらが人体にとって真に有益になり生理痛・子宮トラブルを改善させるためには、自然に則った生活をすることが前提です。鍼灸の目的も、人体を自然に戻すことにあります。
〇冬だからといって、会社や家などの屋内ばかりにいないで、たまには寒さにめげず外を散歩してみましょう。きっと自然のすばらしさを実感するでしょう。そして、野菜不足でお肉やインスタントものばかり食べているあなた、運動などほとんどしないあなた、いつも夜更かししている私、もう一度自然の一部である人体を見直し、健康に目を向けましょう。そこから生理痛・子宮トラブル改善の第一歩が始まるのです。
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