生理不順-即効性を目指す鍼灸

東洋医学では、特に周期の異常を主にしながら、経血量の異常・色や質(性状)の変化を関連させ状態を把握します。これら全体の症状、所見を分析することにより、虚実寒熱を明確にし個々に対処します。周期の異常については、周期が異常に短縮するものを経早または先期といい、周期が異常に長くなるものを経遅あるいは後期といいます。後期が悪化すると、無月経に移行する場合があります。また周期が不定期なものを経乱といいます。ここでは経乱(生理不順)の鍼灸施術などについて述べます。


T 肝気不安定 型の生理不順・・・イライラ型に相当

1概要
肝は血の輸送量や運行を調節しています。ストレスや怒りにより肝の機能が失調すると経乱が起こります。肝うつ気滞型ですので、気が滞る(詰まる)ために血も滞る(詰まる)と周期が長めになります。「3ヶ月に1回しか来ない。次はいつ来るか分からない」という人もいます。周期が長くなると、排卵〜月経開始前の不調(PMSなど)の場合、”悶々・イライラ”などの苦しみが長くなり、筆舌に尽くし難い症状に罹り、鍼灸施術などを必要とする人も見受けられます。こうした状態が長く続くと、人間関係にも支障を来たします。
熱が体内にこもる方の場合、逆に周期が短くなります。”悶々・イライラ”などの精神症状が伴うのは同じです。このような肝気の失調により経乱(生理不順)が起こります。このタイプは、乳房や脇腹部の張りなどを伴いやすく、来潮すれば痛みは軽減し、鍼灸施術などの必要性を感じなくなる、という特徴があります。灸よりも鍼の適応です。

2特徴
量は多〜少など様々、色は正常〜紫紅、塊など
直前に乳房や下腹部が脹痛し出血が始まれば楽になる。

3全身の特徴
精神状態の浮き沈み、胸が悶々とする、ため息をつきやすい、脇が脹る、舌の色は普通〜紅、舌の上の苔状の付着物は薄い白〜薄い黄色、脈は硬くてピンと張っている。

4その他
精神状態の浮き沈みなどにより、肝気が損なわれて気の通りが乱れると血のめぐりも乱れるので、経乱になる。量も一定しないことも多い。
気が滞ると血も滞るので、排出がスムーズにいかない。

4養生法
エネルギーの通りをよくするためには、足を使う運動が最も手っ取り早いです。つまり、運動すれば滞りが解消され、スッキリするわけです。また、欧米型の食事を見直す必要もありますし、早寝して情緒を健全に保つ必要もあります。灸よりも鍼の適応です。


U 腎陽虚型の生理不順・・・冷え性 型に相当

1概要
先天不足、または性生活の不摂生や遅寝などにより腎虚になると生命力が空虚となります。そのため血に対する機能が失調すると生理不順が起こります。腎陽虚による耳鳴り、めまい、腰や膝のだるさなどを伴いやすく、それらの治療をしている人も存在するのが特徴です。鍼よりも灸の適応です。

2特徴
量が少なく色が淡く希薄。帯下もサラサラとして希薄。月経がパワフルではない。 

3全身の特徴
虚弱体質で疲れやすく、足に力が入らない。頻尿になりやすく、尿の色は無色透明。残尿感があったり夜間尿があることもある。舌の色は淡い、舌の上の苔状の付着物は白、脈は弱い、”うつ”になりやすい。

4その他
虚弱体質のため、メカニズムにあるとおり風呂の栓の機能が弱くなると周期が早くなり、血が生産されないと周期が長くなる。これらが交互に起こると生理不順となる。
誘因としては、虚弱体質によるエネルギーの不足、慢性症状による生命力減退、性生活の不摂生、閉経前など。

4養生法
足を使って生命力を強化し、少なめに食べて体に対する負担を軽くして、身体のメンテナンスに必要な時間帯22時〜5時に熟睡することが大切です。鍼灸であれば、灸の適応です。


V 脾気虚 型の生理不順・・・胃腸 型に相当

1特徴
量は多〜少など様々、色は淡い紅、濃度はうすい

2全身の特徴
身体が疲れやすい、あまり食べられないor食べ過ぎがちで胃が重くなる、便は便秘気味か軟便気味、舌の色は淡い、舌の上の苔状の付着物は白っぽい、脈は緩くて弱め、パワフルではない月経

3その他
胃腸の消化吸収力が弱いため、血を造れないと遅れ、量が減る。粘度が落ちて血がうすくなると、流入流出が早くなり、量が増える。これらが交互に起こると生理不順となる。
胃腸の消化吸収力が弱さから、エネルギーの生成の効率が悪くなると血の色は淡でうすくなる。また、身体は痩せるか逆にポッチャリ型となることもある。
誘因としては、過労、飲食量の過多または過少、ストレス、考えすぎなどがある。鍼と灸を併用するのが良い。

4養生法
鍼灸師としての経験から申しますと、胃腸が単独で病むことはあまりありません。元々胃腸の虚弱はあるにしても、ストレス・イライラ型や冷え性タイプと密接に関わります。そうはいっても、やはり胃腸の状態を健全に保っておけば、被害も最小限にくい止めることが可能です。古人曰く「腹が減ってから食べ、いっぱいになる前にやめ、足を使う運動をして、早く寝る」の言葉に尽きると思います。このタイプは鍼と灸を同程度に混ぜて施術するのが良いでしょう。

※タイプ別区分は他にも多数ありますが、全てを網羅することはできないため、セオリー的なものを掲載しました。

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