下痢-即効性を目指す鍼灸
(埼玉県 川越市)

1 外感寒湿
生き物は気候や季節の影響を受けやすいといえます。外邪の問題による多くの症状が散見されますが、下痢についてもいえます。特に湿気は胃腸に影響を与えやすく、湿度の高い我が国においても顕著です。寒+湿においても発症します。
外邪による症状は風邪っぽい症状から始まることが多いのですが(表証)、いきなり胃腸の問題として出ることも多いです(寒邪直中太陰)。湿は粘る性質であり、脾胃の働きを阻害するため、胃腸の症状としてあらわれます。脾気が下がると下痢となり、胃気が上にのぼると吐き気などとしてあらわれます。
(症状)
○排便異常:急な症状が多い。
○腹鳴、食欲不振:ゴロゴロ音は腸の気の流れが寒湿によって、阻害された時に生じます。食欲不振は運化の働きの低下です。
○胃部悶張:胃に気と湿が滞って働きを邪魔し、胃部が張って苦しい。
○呼吸器の問題:くしゃみ、鼻水、悪風、咳などの症状が出やすい
(鍼灸による施術方針)
補気化湿、散寒解表。主に鍼で施術します。

2 脾胃虚弱
いわゆる胃腸虚弱です。慢性下痢に相当します。長引いて改善しにくい傾向があり、鍼灸に来る方の多くはこのタイプです。脾と胃は一対になって飲食物を消化吸収して肺に送る働きがあります。脾は運化の働きを、胃は受納機能を司っています。両者の機能が低下すると食物と水分が胃腸に停滞し、停滞した水は寒湿に変化します。後天の精の機能が低下して、上るべき脾気が下がると下痢になります。降りるべき陰濁が上にのぼってしまうと、悪心・嘔吐などが起こります。エネルギーも生成されにくいため、疲れやすく、体力も持ちません。養生法としては足を使う運動が重要です。
(症状)
排便異常・軟便・人によっては便秘などのバリエーションがあります。
消化不良:大便の中に未消化物が混ざります。
食欲不振:運化機能の低下です。
腹が張る:気が滞り腹が張ります。
顔色が黄色っぽい:エネルギーを上にあげることができません。
疲労倦怠:エネルギーをつくる能力の低下です。
(鍼灸による施術方針)健脾補気
中焦を温補します。鍼と灸を併用します。

3 肝気鬱結
一般的にいわれている神経性です。精神情緒の問題により肝の疏泄が停滞すると、それが太陰・陽明経を攻撃し、運化機能が失調して下痢になります。原因の1つは、消化機能が弱い場合で、このような人は弱いストレス等でも敏感に反応して太陰・陽明経を壊してしまいます。いわゆる木→土の相剋現象です。その場合、中焦の生命力を高めることが第一です。原因の2つめは、肝鬱がひどい場合で、強い精神情緒の問題が太陰・陽明経を壊します。これは脾胃虚弱が原因というよりも、肝鬱が強いことが原因となります。肝鬱と中焦虚弱の力関係(バランス)が崩れることにより下痢するのが、肝鬱です。
(症状)
排便異常:精神がひっ迫している時に発症します。
胸脇張悶:足厥陰肝経の通り道である胸脇が張ります。
ゲップ:胃気上逆
食欲低下:運化機能低下
(鍼灸による施術方針)抑肝補脾
肝の亢進を抑制し、中焦を補います。
鍼による施術が中心となります。

4 腎陽虚
下痢は消化機能の問題で生じます。しかし、骨の髄まで冷えきっている人は脾胃を補っても改善しないことがあります。その場合、陽の宅(すみか)である腎陽を熱補する必要があります。
腎は下焦に区分され、命門の火ともいわれ、五臓六腑の熱を司ります。特に中焦を温め、飲食物を腐熟する働きを担っています。腎陽が不活性になると、五臓六腑(特に中焦)を温められなくなると、下痢します。腎陽不足で五臓六腑が冷える→下る→更に冷える→・・・の悪循環に陥る危険性があります。
(症状)
鶏鳴下痢:鶏が鳴く時間帯に下ります。大便ではなく、小便の場合もあります。陽気不足、陰気亢進の症状です。
骨の髄まで冷える:陽気不足
疲労倦怠:腎は生命力の根です
言いたいことも言えない:パワーが低下しています
性欲低下:腎は生殖機能を司ります
(施術方針)熱補腎陽、渋腸止瀉
生命力の根を熱補して、五臓六腑全体を活性化します。
灸によるアプローチが中心です。

※タイプ別区分は他にも多数ありますが、全てを網羅することはできないため、セオリー的なものを掲載しました。

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