『東洋医学の本場は中国。日本は中国を追いかけているだけ』というのは本当か?

『1955年に「経絡之研究」という書籍が中国において出版され、それをきっかけに中国の中医学界で鍼灸ブームが起きた。当該書籍は1950年に日本で出版された「経絡の研究(長濱善夫・丸山昌朗)」の中国語版である。これが中国に非常に大きな影響を与えた。経絡現象は日本から提起されたものである。』

『1955年頃、中国で鍼灸ブームが起きた時、中国の鍼灸医師は日本のことを懸命に勉強した。なぜなら、中国では(文革によって)失われてしまった書籍が、日本には残っていたからだ。当時、日本に留学した承淡安(中国人)は、そうした日本の著書や日本で経験したことを中国へ持ち帰り、更に研究を重ねた。その頃、中国の鍼灸医師たちは日本の本をたくさん読んで勉強した。』

以上は中医学界の大御所(上海中医薬大学教授)が、日本の出版社のインタビューに答えた時の内容です。承淡安は中国における東洋医学の教科書編纂にも大きく関わった人物であり、当該教科書は今でも中国の東洋医科系大学で使用されています。こうしたことからみても、日本の鍼灸が、中国の鍼灸界に対して、いかに大きな影響を与えたかを伺い知ることができます。

『中国は東洋医学の本場』という見方があります。それは間違いではありませんが、事実はそう簡単ではないようです。他にも、我が国の澤田流なども中国鍼灸界に大きな影響を与えています。「現代中医鍼灸学の形成に与えた日本の貢献」に分かりやすく書いてありますので、興味がある方は読んでみてください。

東洋医学は職人芸的色彩が強く、西洋医学のように”画一的・一律なサービス”を提供するのは無理です。東洋医学界の言葉で『100人100流派』というのがあります。つまり、「師匠の模倣では実践で使えない、自分流を築かなければならない」ということを意味します。それを、日本的技術/中国的技術などと単純に2つに分けるには無理があります。

結局、東洋医学は(日本においても中国においても)個々人の力量に委ねられる、というのが現実でしょう。そこが東洋医学の難しい所であり、魅力的な所でもあると思います。

(2015・03記)

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