〇科学的証明は絶対か?
現代社会では、科学的に証明できるものを絶対視する傾向があります。「〜という現象がみられるが、科学的には証明できないから何とも言えない」などという言い方をします。鍼灸も科学的に証明できないことも手伝って、医師の同意書なしでは保険適用にはなりませんし、介護保険にも参入できませんでした。法律的にはどこかで線引きしなければなりませんから、それも仕方のないことかもしれません。しかし、「科学的に証明できる」ことがそんなに大切でしょうか?
〇生命の神秘
「生命の神秘」というくらいですから、大自然の営みはとても科学で証明できるものではありません。例えば生命の誕生がそうです。我々人間も動物の一種ですから、交尾(性交)をして、その結果新しい生命が誕生します。新しい生命を何もないところから、人工的に造り出すことはできません。人工授精などの分野も急速に発達していますが、未だに人工的に精子や卵子を作り出すことはできません。生き物が造り出した精子や卵子を抽出し、それらを掛け合わせているだけのことです。つまり、生きている髪の毛一本ですら人工的に作り出すことはできないのです(もちろん、生命を宿していない髪の毛でしたら簡単に作り出せます)。
〇人類の英知さえも浅知恵と化してしまう
植物もそうです。何もないところから種(たね)を造り出すことはできません。植物が生命の営みの中で造り出した種を採取して、それらを掛け合わせて品種改良などを行っているのです。動植物のみではなく、大自然のモノのほとんどがそうです。もちろん、女性の生理が起こる現象だって神秘の世界です。大宇宙・大自然は偉大であり、現代人の浅知恵など及ぶところではありません。現代人が科学的に証明できることは、大自然の中のごく一部ということでしょう。
〇鍼灸も非科学的
鍼灸は人間の身体に対して施術するわけですから、生命の神秘に直接関与していることになります。つまり「科学的に証明できなくて当然」といえます。鍼灸は非科学的だから云々・・・などと言われることがありますが、そう言う人たちは「科学的には証明できないからダメ」といった単純な思考回路をお持ちなのだと思います。鍼灸は科学的には証明できませんが、効果はあります。特に生理痛・月経トラブルには・・・。
〇手足への施術でお腹が動く
鍼灸を通して身体の内面にアプローチできるようになるまでには、鍼灸師としての修行が必要です。しかし、鍼一本、灸ひとつでお腹を動かせるようになると、やめられなくなります。手先・足先に施術して、お腹が動くことを科学で証明できるはずがありません。患者さんに「手から神経がお腹に来ているのですか?」と聞かれることがありますが、そうではありません。「経」や「絡」というエネルギーのルートがそうなっているのです。敏感な患者さんになると「手のココから、こういうふうに顔に来るんだけど、どうして?」と聞かれますが、これも経や絡でしか説明できません。先日も生理痛・月経トラブルのうち、吐き気タイプの患者さんが来られたので、足に鍼灸をしたら、お腹の左側がゴロゴロ動いていました。「下痢をするわけでもないのに、どうしてこんなに動くの?」と聞かれました。「それはエネルギーのルートが、足の指から始まって、お腹の横を通っているからです」とお答えしたら不思議がっていました。こんな現象は、鍼灸を通して身体にアプローチできるようになれば、それほど驚くことではありません。ここまで顕著な現象でなくても、ほとんどの患者さんは鍼灸の後には「眠い、だるい、マッタリする、運動した後の心地よい感じ」などと言われます。人によっては、鍼灸施術をしている最中に口を開けて寝てしまいます。これらは科学的に説明できるものではなく、生命の神秘としか言いようがありません。
〇鍼灸や漢方のルート
それでは、なぜ、こんなことができるのでしょうか?私に特別の力が宿っているのでしょうか?そんなはずはありません。私は凡人未満の人間です。ただ過敏体質のため、通常の人が分からない身体の感覚が気になるだけです(日常生活をおくるには不便で仕方ありません)。我々鍼灸師がやっていることは、何千年も前の中国の文献に載っていることを、そのまま追試しているにすぎないのです。生理痛・月経トラブルへの効かせ方も記載されています。当時、中国には聖人といわれる人たちが存在しており、その人たちは「宇宙の動きから人間の身体の中のことが分かった」とされています。中国だけではなしに、その頃、世界各国に偉人や特殊な能力を持った人たちが現れているようです。そして、その人たちが「人体のエネルギーのルートはこうなっている」「このツボにこのように鍼灸を施せば改善する」「女性がこういう生理痛・月経トラブルになったら、このツボに鍼をする」「この症状にはこういう成分を調合して漢方をつくると効く」などということを書いており、それが残っているわけです。ちなみに、ツボの名前はこの頃の文献に載っている名前がそのまま付されており、漢方薬も同様です。皆さんがよくご存じの葛根湯(かっこんとう)も、1800年位前に編纂された「傷寒論」に載っている名前が、そのまま今も使われているのです。これはすごいことです。2千年も前につけられた名前がそのまま今も使われ、効果があるばかりでなく、最近ではその辺のコンビニでもそのままの名前で薬が買えるのですから・・・。ツボにしてもそうです。生理痛・月経トラブルに多用される三陰交(さんいんこう)や足三里(あしさんり)なども、数千年前の名前がそのまま今も息づいているのですから驚きです。まさにその頃の人たちは、現代人が科学を用いて解明できない「生命の神秘」を分かっていたのでしょう。そんな宝物が詰まっているのが鍼灸や漢方なのです。
〇効くか効かないか
科学的か非科学的か・・・などはどうでも良いことです。要するに効くか効かないか・・・この1点です。当方に来て下さる生理痛・月経トラブルの患者さんは、色々回っても納得のいく改善をせずに、たいへんな思いをした方も多いので、厳しくも正当な判断をして下さいます。また、肩書きを信じて来られているわけでもありません。なぜなら、私はただのはり師・きゅう師に過ぎず、患者さんから見たら、どこの馬の骨かも分からない無骨者だからです。ただ、効くことを実感して来て下さっているわけです。それだけに、私も患者さんの期待に応えるために全力を尽くしたいと思っています。
〇過去の聖人との対話
まだ鍼灸施術を受けたことのない皆さん、ぜひ一度体験してみてください。2千年以上も前の人たちが何を考えていたのか、どんな生命の神秘を感じ取っていたのか・・・?古典をひもとくことと同等以上に、古(いにしえ)の人たちとの対話ができるかもしれません。しかも、古典の方法をそのまま実践すると、生理痛や月経トラブルに効果をあらわすなら、すごいことです。そんなことを考えていたら、今日も眠れなくなりそうですから、この辺でパソコンを閉じようと思います。皆さんも早くおやすみくださいね。特に生理痛や月経トラブルがきつい人は・・・。
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