解剖学≠経絡学

西洋医学(解剖学)と東洋医学(経絡学)は、全く違う概念で成り立っています。これを、患者様にご理解いただくのは至難の業です。患者様がいかに頭が良くて優秀であったとしても、西洋医学(=科学=解剖学)的な思考回路で物事をお考えになるのは当然です。決して、東洋医学(=経絡学)的な思考回路でお考えになることはありません。

そのため、患者様と私とでは、頭の中の思考回路が根本的に異なることは、仕方がありません。反対に、同じだったらおかしい訳です。しかし、(説明下手な私が)多少なりとも理論的に説明しなければならない場合に(苦し紛れに)引用するのが、植物に例える説明です。

○ヒトの身体を(無理やり)植物に例えると、根・茎・枝・華に区分できます。

根(足の厥陰・少陰)・・・ 足指、足、脚、生殖器、腰、、胸、背中、、腕、手、手指、首、顔、目、まぶた、耳、鼻、口、頭、髪

茎(足の太陰)・・・足指、足、脚、腰、、胸、背中、、腕、手、手指、首、顔、まぶた、鼻、口、頭、髪

枝(手の太陰)・・・胸、背中、、腕、手、手指、首、顔

華(手の厥陰)・・・胸、背中、、腕、手、手指、首、顔

例えば、枝が痛んでいて、枝の生命力を活性化したい場合、「枝にだけ水や肥料を与える」という選択肢は存在しません。当然のことながら、根や茎の活性化を主眼に据え、同時に枝に対するアプローチを行う必要があります。よって、「こりを改善するためのツボはどれですか?」と尋ねられた場合、「 全部(根・茎・枝・華)のツボが対象になります」としか答えようがありません。

同様に、「腸に問題があるから、小腸大腸のツボにアプローチして下さい」といわれても、腹には根と茎が関係してくるため、根&茎のツボにアプローチを図る必要があります。この場合は、「足の少陰腎経(根)」と「足の太陰脾経(茎)」のツボが対象になります。決して、手の太陽小腸経のツボや、手の陽明大腸経のツボは対象になりません。

つまり、西洋医学(解剖学)でいうところの小腸は、東洋医学(経絡学)でいうところの「手の太陽小腸経」とは関係ありません。同様に、西洋医学(解剖学)でいうところの大腸は、東洋医学(経絡学)でいうところの「手の陽明大腸経」とは関係ありません。

ツボのことに触れた(患者さん向けの)情報誌等には「小腸の募穴は関元だから、関元を刺激すれば効く」とか、「大腸の募穴は天枢だから、天枢を刺激すれば効く」などと書かれていますが、そのようなことは現実には(ほとんど)起きません。

西洋医学と東洋医学は、根本的に違います。違うからこそ、片方で改善しない場合、もう片方で改善できるケースがあるわけです。もし、東洋医学が西洋医学と似通った理論で成り立っていたとしたら、それは西洋医学に従属する不完全な気休め(代替)医療になってしまいます。それでは、症状の改善を図るのは難しいのではないでしょうか。

東洋医学は独立的、主体的に構成されています。決して、西洋医学に従属するものではないことを述べておきたいと思います。

(2016.09記)

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