胸の痛み-即効性を目指す鍼灸
(埼玉県 川越市)

東洋医学においては、ムネの痛みを胸痺といいます。胸痺とは様々な要因により上焦の陽気が滞って発症する胸閉や痛みのことです。痺には滞って通じない、という意味があります。軽い場合は悶々とする症状で出ますが、重い場合には痛みが出ます。ここでは心肺の生命力低下による場合について考えてみます。

A分類
①痰濁中阻・・・飲食の不摂生やアルコールなどにより中焦が損害を受けると、痰濁が発生しやすくなります。痰濁が心肺の陽気に影響を与え、心肺の気血のめぐりが低下すると、胸の痛みが発症します。
②気滞血瘀・・・精神情緒の抑鬱等により気滞が発生し、気滞が通じないと瘀血を生じます。瘀血が心肺の脈絡に滞ると当該症状が出ます。
③陽虚寒凝・・・日常的に陽気が虚(うつ)ろな状態にさらされ、胸部の陽気の状態が弱いと、気血のめぐりが低下しやすいといえます。更に寒邪から悪影響が及ぶと、寒の凝滞的な性質により気血の巡りは一層低下し、その為に脈絡が滞ると当該症状が発症します。

B鑑別
随伴症状や舌脈所見と総合的見地から鑑別を行います。痰濁中阻によるものは胸悶、咳、呼吸が浅い、眩暈等を伴いがちで、舌苔は粘膩、脈は滑の方が多くみられます。気滞血瘀によるものは悶々とする、息が切れる、動悸等を伴いやすく、舌の色は紫色または暗い色、脈は渋または結代などが多くみられます。陽虚寒凝によるものは手足の冷え、昼間に汗をかきやすい、顔色蒼白等を伴いやすいといえます。
性質としては、痰濁中阻では悶痛、気滞血瘀では刺すような痛み、陽虚寒凝では絞痛を覚えるものが多くみられます。

C主な病証
a)虚証例(陽虚寒凝によるもの)
(病態)
陽虚という素因にプラスして寒邪が悪影響を及ぼすと、このタイプの症状が出ます。寒冷刺激により増強する性質があります。上焦の陽気が低下することにより、悶々とする・息が切れる、動悸等があらわれます。また、陽気が低下しているため、手足の冷え、顔色蒼白等の症状が出やすいです。
(症状、所見)
①主要症状・・・絞痛は肩甲骨の辺りに放散、寒さにより増悪
②舌脈所見・・・舌の上の苔状の付着物は白い、脈は沈んで遅い
③随伴症状・・・悶々とする、息が切れる、動悸、顔色蒼白、手足の冷え、昼間の汗、重い場合には呼吸促迫など
(施術方針)
陽気を改善させて気血の滞りを良くし、寒邪を取り去ります。主として心兪・厥陰兪、手少陽三焦経、手太陽小腸経の経穴を取り、鍼にて補法を行います。灸を併用することもあります。
(処方例)
心兪、厥陰兪、陽池、外関、後渓など

b)実証例(気滞血瘀)
(病態)
気滞により血瘀を生じ、それが心肺を通る脈絡に影響すると当該症状が発症します。血瘀によるものは固定性の刺すような疼痛が出る特徴があります。また、夜に増悪しやすいです。
(症状、所見)
①主要症状・・・固定性の刺痛、肩甲骨の部位に放散する、夜に増悪
②舌脈所見・・・舌は紫色や暗い色、脈は細く渋る、または結代
③随伴症状・・・悶々とする、息が切れる、動悸、唇は紫色になりやすい
(施術方針)
気血のめぐりを改善し、血瘀を下す。主として心兪・厥陰兪などの背部兪穴、壇中・巨闕などの前面募穴、手厥陰心包経、手少陰心経の経穴を取り、鍼にて瀉法を施します。
(処方例)
心兪、隔兪、厥陰兪、神門、内関、壇中、巨闕など

※タイプ別区分は他にも多数ありますが、全てを網羅することはできないため、セオリー的なものを載せました。


よく見られる症状に戻る

トップ

Copyright(C)2005-2017  Nagashima Acupuncture Moxibustion Room(Tsutomu Nagashima) 埼玉県 川越市 長嶋鍼灸室