生理前症候群-即効性を目指す鍼灸

生理トラブルは

@胃腸 型

Aイライラ型

B冷え性 型

Cエンジンオイル枯渇タイプ

の4種類になります。ここでは、生理前症候群の鍼灸に特化して説明します。

1 概要
鍼灸などの東洋医学では「経行情志異常」などと表現します。約1800年前の古典にも似たような記述があり、当時の人も同様の症状の治療を必要としていたようです。
〇排卵〜生理前にヒステリー、不眠、怒りが抑えられない、悲しくなる、うつ、だるくて外出が困難、食欲減退、異常な食欲(特に甘味)、吐き気、異常な眠気などの症状が出ますが、生理が来ると正常に戻ります。
〇生理前症候群の症状は、人によって軽重さまざまで、うつっぽくなるタイプ(内にこもるタイプ)と、怒りが抑えられないタイプ(外に向かうタイプ)がありますが、どちらも鍼灸の適応です。
@内にこもるタイプ・・・(軽)うつっぽくなり、あまりしゃべりたくなく社交性が乏しくなり、悲しがって泣いたり、ぼーっとしがち、吐き気、胃のむかつき、異常な眠気。(重)どよ〜んとした精神状態、理屈に合わないことを言う。
A外に向かうタイプ・・・(軽)神経がピリピリし、過敏な状態になり、怒りを抑えられず、イライラ、ヒステリーなどを繰り返す。(重)ののしり、罵倒し、物を投げる、しゃべりまくって止まらない、殴りかかる。
@とAを合併する場合もあります。
生理後半以降に体調を崩すタイプもあります(気虚型)。

2 鍼灸による分類
@肝うつ気滞型(イライラ型)
(ア)特徴
排卵〜生理前に精神不安定になり、生理前症候群になります。神経がピリピリ・イライラして起こりやすくなり、コントロールをしにくい、吐き気、胃がムカムカ、電車に乗れない、など。酷くなると無礼なことをいったり怒り散らしたり、殴りかかることさえあります。月経が始まると、詰まっていたモノが出て行くため楽になり、鍼灸などの治療は必要なくなります。このタイプは灸よりも鍼の適応です。

(イ)普段からある症状
よくしゃべる・または逆に寡黙、胸や脇が張る、食欲減退または異常な食欲、イライラしがち、頭痛持ち、口が苦い、唇が渇く、舌質(苔の下)は赤い(特に舌の両脇や先)、脈はピンと張った弦のよう。

(ウ)分析(参考:月経のメカニズム)
排卵〜生理前は肝気が盛んになるため、気が高ぶります。また、そこにストレスや運動不足が加わると、気が滞り、血も滞るため、余計なものが身体の中に鬱積し、巡らなくなるので、気持ちが悪くなり、様々な症状を引き起こします。生理が来ると、肝気が急激に下降し、余計な(詰まっていた)モノが出て行くので、楽になり治療の必要性を感じなくなります。月経血の色は鮮紅色である場合が多くみられます。

@-2肝血虚型エンジンオイル枯渇タイプ
(ア)特徴
肝血は車に例えると、オイルの役目を果たします。つまり、潤滑油です。この時期は、受精から妊娠に至らせる目的で生命力がフル稼働するため、潤滑油(肝血)を消耗し、オイル不足状態に陥るわけです(肝血虚)。このタイプも灸よりも鍼の適応です。

(イ)普段からある症状
のぼせる、寝汗をかく、怒りっぽくなる、鬱っぽくなる、不眠傾向、感情が高ぶる、午前中は特に動けない、しゃべると疲れる、寝ていると更に悪化する、など。

(ウ)分析
生理前症候群は教科書的には実証ですので、肝うつ気滞型のような症状が出て、治療が必要になります。しかし、日本人は大陸(中国・韓国)の一般的レベルに比べて生命力が極めて弱いため、多くは虚証としての症状が出ます。よって、教科書どおり(肝うつ気滞型)の漢方や鍼灸を施しても改善しない場合も多く見られます。肝は異常亢進しやすいため、実証も虚証も似たような症状が出ますが、本質は全く逆です。詳しくはこちらをご覧ください。

A痰湿化火型(胃腸 型 + イライラ型)
(ア)特徴
生理の前に狂騒状態になり、神経ピリピリし、支離滅裂で、罵倒、ぼ〜っとしている、異常な眠気、社交性がなくなる、などになります。特に倦怠感が強く、動く気になれない、身体がだるくてだるくて仕方がない、食欲は全くなく甘いもの以外は受け付けない、湿度に弱い、吐き気、胃のむかつき、などが出て鍼灸などの措置が必要になります。

(イ)普段からある症状
食欲がない、湿度の高い日は電車に乗るのが大変、便秘または下痢(軟便)、大便が便器につく、朝起きぬけに痰が出る、全身倦怠感、重だるい、熱がりで寒がり。舌質(苔の下)は赤いが苔が厚いため、白(黄色)く見える、脈は滑らかに触れる。

(ウ)分析(参考:月経のメカニズム)
脾(≒胃腸)から吸収→全身に栄養や水分を行き渡らせる・・・の機能が弱いため、身体の中に余計なものがたまり、それが不快で精神情緒を混乱させ、生理前症候群の症状が出て治療が必要になります。生理前になると、肝気が盛んになるため、気が高ぶります。その高ぶった気が元々の鬱積したものと結びつき、精神情緒を侵します。生理後には肝気が急激に下がるため、普通に戻り、鍼灸などの治療は必要なくなります。運動すると、こもっているモノを動かすため改善しますが、このタイプは普段から全身倦怠感が強いので、運動を嫌います。運動不足→余計なものを排出する機能が弱くなる→全身倦怠感が悪化→もっと運動不足になる・・・といった悪循環をたどります。鍼灸だけよりも養生を併行することが改善につながります。


B気虚型(B冷え性 型) (生理シンドローム
(ア)特徴
このタイプは生理前症候群には入りません。どちらかといえば生理中〜後シンドロームです。気虚ですから、元々エネルギーが不足気味です。それが、生理によって更にエネルギーが漏れることにより、様々な愁訴が出ます。生理が始まると過去の事を後悔する、異常な眠気、うつっぽくなる、(本当に酷い人は)人が怖い→人と距離を置く→人が寄ってこない、生きていくのがイヤ、理由もなく悲しむ、などに発展するケースもあります。また、生理が遅れがち、月経血は少なくうすいのが特徴です。このタイプの場合、鍼よりも灸の方が適応になる場合が多いです(個々人により異なります)。

(イ)普段からある症状
顔色が悪い、物事にビクビクする、倦怠感、言葉に力がなく聞き取りにくい、髪の毛につやがない、めまい、立ちくらみ、目に輝きがない、唇は淡い色、寒さに弱い、便秘または軟便、残尿感、頻尿、胃腸虚弱など。舌は白っぽい色で、舌の両脇に歯の跡がある、脈は弱い。

(ウ)分析
元々エネルギー不足のため、生理により血と気が失われ、エネルギー不足が顕著となります。身体と精神は一つであり、エネルギーが不足すれば身体もだるくなり、精神も潤わなくなり、精神不振が顕在化します。心神が栄養不足になるため、(本当に酷い人になると)びくびくする、動悸がする、うつ、ぼ〜っとする、人が怖い→人と距離を置く→人が寄ってこない、などの顕著な症状が出る人もいます。出産によって、エネルギーを子供に分け与えた結果、生理が終わる頃に体調を崩す症状が出る人もいます。
栄養不足といっても、食べる量や栄養素が足りないわけではなく、エネルギー生産能力が足りないため、必要以上に食べれば、胃腸に過度な負担が加わり、更に悪化します。足を使う運動をして、胃腸の消化吸収能力を高め、海のもの(海藻)・ネバネバ系(山芋、納豆など)を日常食とし、間違っても甘いものやインスタント食品を常食としないことが大切です。お茶類・コーヒー類などは極力控え、夜は23時には就寝しましょう。養生は治療よりも大切です。 

※タイプ別区分は他にも多数ありますが、全てを網羅することはできないため、セオリー的なものを載せました。

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