〇「何を食べたら生命力が高まりますか?」とよく聞かれます。食べ物や食事で述べたとおり、「根本的な体質改善を目標に考えれば、これさえ食べればこ〜んなに生命力が高くなる、などという食べ物は存在しない」とお答えしています。なぜならば、現代の飽食の時代に、食べる量の不足が原因で生命力を落としている人はあまりいないからです(過度にダイエットを意識している人を除く)。現代では、「いかに食べ過ぎないか」「いかに悪いものを遠ざけるか」「いかに運動して身体中への栄養の散布をよくして、アマリモノをためないか」がキーワードです。
〇過度にダイエットを意識している人や、摂食障害の人を除けば、私たちは「食べない過ぎ」で生命力を低下させているわけではなく、欧米思考(高たんぱく・高カロリー)のものや、不必要なものを食べすぎて生命力や自然治癒力(身体中の生態系)を低下させているわけです。例えば、最近流行の「メタボ」を考えてみて下さい。メタボはかつては贅沢病(ぜいたくびょう)といわれた病気ですが、現代飽食時代では、それが一般的な病気になってしまいました。つまり、「運動不足&欧米食の食べ過ぎで生命力を低下させている」わけです。食べても太れない虚弱体質者についても、食べる量が足りないわけではなく、胃腸の力や命門の火が弱いので、消化吸収・散布ができないことが原因であり、無理に胃に詰め込めば、より一層、虚弱が悪化することは、すでにご説明したとおりです。

〇月経トラブルに陥っている人もそうです。日常的に、甘いものや動物性脂肪・動物性たんぱく質食品を食べ、運動不足、遅寝などを繰り返していれば、体調も悪化して当然です。しかし、「食欲」という欲望を否定されるのがいやですし、「栄養をつければ・たくさん食べれば生命力が高くなる」と思っている(思いたい)人も多くいます。「食欲」という頭で考える「過度な欲望」を必要以上に肯定している限りは、生命力を高めることはできないでしょう。
〇欲望をかき立てる社会でも述べたとおり、私たちは放っておけば、どこまでも欲望を追求することをやめません。生態系と生命力でも述べましたが、頭で考えた欲望の限りを尽くそうと、胃腸や身体を無視して、色々な理屈と知恵を引っ張り出して、無理なことをやろうとします。そこに、食べ物で生計を立てている人(食品業界)や食べ物で儲けている人(健康食品業者など)が入ってきて、現代人のゆがんだ欲望を正当化するので、どんどん曲がった方向に進んで行ってしまいます。
〇「じゃあ、どうすれば良いの?」「生命力を高くするには食べ物は関係ないの?」と思われるかもしれません。まず、肝に銘じて欲しいのは、「特定の食品を食べたからといって、すぐに生命力が高くなることはない」という当たり前の事を認識していただきたいと思います。食物はチリも積もればのチリのようなものです。根本的に生命力を高めようと思ったら、年単位で正しい食生活を送って初めて生命力が高まります。
〇「なぜ年単位なのか」といいますと、標と本のうち、本に効かせるためには時間が必要なのです。(標)とは、今現在出ている不快な症状の直接的な原因のことです。(本)とは標の元となる根本的な原因です。(本)は根であり、(標)は枝葉末節です。例えば、「1ヶ月間、肉類を多食したら、今月は”何となく”不調で生理痛がきつかった」という場合、(標)→「肉類を多食したため、気血の流れが悪くなり、肝うつ気滞となって、悶々(もんもん)・イライラとした日が多くなり、月経血も詰まって出ずに痛い」 (本)→「腎陰虚という根本体質があり、腎水が枯渇して肝木を潤すことができなかった」となります。つまり、(標)である肝うつ気滞は、1ヶ月間の食生活を見直せば、”何となく”の不調は改善され、次の月経も痛くなく過ごせるかもしれません。ところが、(本)である腎虚という根本体質は、1ヶ月程度食養生をしても、何の変化も起きないでしょう(例え生理痛は痛くなく、”何となく”の不調は改善されても、腎虚という根本体質は改善されていない)。つまり、腎虚という根本体質が残っているため、また次の月に肉類を多食したら、また、”何となく”の不調があらわれ、生理痛も酷くなるわけです。(本)腎虚そのものが改善すれば、多少肉類を多食したとしても、平気なわけです(腎水が肝木を潤すことができる)。本来の生命力を高めるためには、(本)の改善が必要です。そのためには、年単位で見直す必要があるのです。
〇大切なのは、(1)食べ過ぎない、腹八分でやめる(2)悪いものを寄せ付けない(脂肪過多・冷凍食品・インスタント・甘味・アルコール・冷たいもの・生もの、など常識的に考えて良くないもの)(3)運動をして、いつも胃をすっきりさせておく、アマリモノを身体の中にためない(4)食欲という欲望を必要以上に正当化する理屈(りくつ)をこねない(5)食品業界や健康食品関連会社のいうことを真に受けない(6)さっぱりしたものを食べる(いくら栄養があっても、胃にもたれた時点で消化吸収ができないし、アマリモノとなって身体の中に溜まります)(7)その他全てのことを常識的に考える・・・・・これらのことが実践できて、初めて正しい食物が生命力を高めます。
〇(1)〜(7)を実践することができる前提で、正しい食べ方とは・・・●海のものが良い。《海藻・小魚(頭から尻尾まで)などの質素なものが良い)》・・・すしのネタなどのぜいたく品は論外、何よりも生ものは一過性の脾陽虚(お腹の冷え)になりがちです。●ネバネバ系が良い(山芋・納豆・おくらなど)。●現在の50歳代の方が子供の頃に食べていた一般的なものが良い(煮物などの野菜、たんぱく質は大豆類や魚中心が良い)。●日本人が長い間食べてきた伝統食が良い、などです。つまり、「うまいものを食べたい」という欲望を遠くに置いておいて、質素な食事をする、ということです。言い換えると、過剰な欲望に打ち勝たない限りは、正しい食事を実践することは無理なのです。「つまらない」といわれるかもしれませんが、食事に求める楽しみとは食べ物で申し上げたとおりです。食事に、歪(ゆが)んだ過剰な楽しみ(欲望)を求めすぎた結果が、現在の”一億総半健康人(=生命力低下)”状態なわけです。
〇風土にあった食事
私たち日本人は、古くからさっぱりとした食べ物を好んできました。欧米のように、高たんぱく・高カロリーとは反対です。それは長い年月をかけて、身体の調子を良くする食品に落ち着いたのです。栄養学などの理屈は知らなくても、何を食べたら身体の調子がよいかは、自分の身体と対話すれば一目瞭然です。専門家やメディアがいうことを信じる前に、ご自身の感覚を信じることは大切です(「おいしいものは消化吸収が良いので、身体に良い」など、歪(ゆが)んだ欲望を無理矢理、肯定する理屈は論外)。特に、外国と違って日本は湿度が高いため、五行色体表にもあるとおり、脾が被害を受けがちです。脾が被害を受ければ、消化・吸収した栄養を身体全体に行き渡らせる機能が弱るため、アマリモノが溜まります。脾は西洋科学的発想の胃腸によく似ていますが、消化吸収のみでなく、その後、栄養物質を身体中に巡らせ、余計なものを体外に排出することまでを包括したものです。いくら消化吸収できても、余計なものが身体中に溜まってしまったら、食べることが自分の身体をいじめることにもなりかねません。現代の欧米流の栄養学は、入ることばかりを考え、出すことの重要性を無視しているように思います。つまり、”新陳代謝”はたいへん重要である、ということです。
〇昔の人は肉体労働を余儀なくされていましたから、アマリモノがたまって(新陳代謝が悪くなって)動きが鈍くなることは死活問題だったわけです。しかし、現代人の多くは運動しなくても生きていけるため、そのような感覚が麻痺してしまい、食べ過ぎやアマリモノのたまりすぎに鈍感になり、外人の真似をして過度な欲望を肯定しようとします。そこに現代欧米流栄養学が加わり、「1日〇gのたんぱく質が必要、食品の中の脂肪の占める割合は・・・、プロテインスコアは・・・」などの、感覚を無視した単純な発想が大手を振って歩いていますから、ますますアマリモノをためることになります。メタボなどという科学的に証明できるデータ以外にも、高たんぱく・高カロリーは生命力旺気(自然治癒力)の足を引っ張り、回復機能を低下させます。日本人の風土に合ったサッパリとしたものを食べ、いつも胃がスッキリとした状態を保つことは、生命力を高める上で基本中の基本です。
〇このHPを読んでいる人たちは、どうか正しい食生活を送り、生命力を高めて下さい。間違った健康法に惑わされることなく、テレビやメディアに振り回されることもなく、着実・堅実で当たり前な食養生・健康法を実践されることを願ってやみません。
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