〇生理痛・月経(子宮)トラブル改善のためには、運動が欠かせないことは前に述べました。では、どんな運動が最も適しているのでしょうか。それは「足を使う運動」です。足を使う運動は全身運動になるために、カロリー消費量も高く、気をたくさん動かし、新陳代謝を高め、お腹がすくので胃腸に良いことは言うまでもありません。また、足からは生理痛・子宮トラブルに関与する三つの経絡(消化・ストレス・冷えに関与するツボの集合体)が出ており、それらの経絡を刺激することにより、生理痛・子宮トラブル緩和に良い影響を与えます。そして、生理痛・子宮トラブルに関与する三つの臓器(胃腸・肝・腎)に直接良い影響を与えます。今回は、生理痛・子宮トラブルに関与する三つの臓器に関する影響について説明していきます。
@脾(≒胃腸)と生理痛・月経トラブルについて・・・飽食の時代といわれる現代では、毎日が過食の連続です。人間は、食べ物があれば食べ過ぎるようにできているようです。特に運動不足が伴うと、正常な食欲が麻痺するため、お腹が減らないのに時計を見ながら食べる習慣がつきます。それも三度の食事のみならば良いのですが、それに午前のお茶が加わり、午後のおやつが加わり、家へ帰る間の間食が加わり、寝る前のつまみ食いが加わり・・・などということを繰り返しているうちに、四六時中食べていることになり、胃腸(脾)は休む暇がありません。その結果、そうした習慣が年単位で積み重なっていくうちに、胃腸に過剰な負担が加わり、それが生理痛・子宮トラブルや吐き気などに発展していきます。飽食の時代にあっても、運動を日常的に行っていると、胃腸(脾)が異常亢進しないため、お腹がすいていないときは食べない習慣が身についていきます。実際に、運動をしている人ほど基礎代謝量に対する食物摂取量が少ない、といったデータを見たことがあります。また、運動した後の食事は何を食べても心底おいしく感じます。おいしく感じるということは、消化吸収も良く、本当に身体が必要としている栄養分として身についていきます。運動した後のすきっ腹の状態では、お菓子のようなものでは物足りず、ごはんとおかずを食べたくなります。つまり、栄養摂取の面からも運動は良いのです。胃腸(脾)を良くするためには運動が欠かせないことは言うまでもないようです。
A肝について・・・ストレスがたまりすぎて欲求不満になった状態を「肝うつ気滞」といい、気が動かない状態のことを指します。ストレスがたまって、気が動かない状態で生理を迎えると、生理痛はたいへんです。肝うつ気滞を改善するためには、筋肉を動かすことが必要です。現代生理学で、グリコーゲンを肝臓と筋肉に貯蔵することが分かっていますが、このことからも肝と筋肉の関係は密接であることが分かります。ストレスがたまったときに、運動するとスッキリするのはそのためです。「ストレス解消に運動」という考え方は、東洋医学的にも理屈付けられています。特に足を使う運動をすることで、下半身のみでなく体幹の多くの筋肉が動員されるため、身体中の気が動き、停滞した気を動かし発散することになります。また、神経性胃炎に代表されるように、肝(ストレス)と胃腸(脾)は密接に結びついており、その意味からも足を動かして気の停滞を解消し、ストレスを発散することは生理痛・子宮トラブル改善のために大切です。
B腎について・・・冷えが侵入するところは腎です。腎が弱ってきたところに、冷えが侵入するとなかなか追い出ず、生理痛・子宮トラブルもひどくなります。冷飲食をやめたり、身体を温かくすることはとても大切ですが、それと同時に冷えが侵入する隙(すき)をつくらないために、腎を補うことも忘れてはなりません。腎を補うためには、下っ腹を鍛えることが必要です。この場合の下っ腹とは、昔の人が丹田と呼んだところで、おヘソの少し下を意味します。「ハラに力を入れて」「ハラで考えろ」「ハラで呼吸しろ」「ハラが据わっている」などという言葉を、昔は当たり前に使っていたそうです(ちなみに、元来「肝が据わる」とは言いません)。そして、この場所を鍛えるには、足を使った運動が欠かせません。決して腹筋を鍛えても、表面が固くなることはあっても、下腹そのものに力(元気)がみなぎってきません。下腹そのものに「元気」を宿し、張りをもたせるためには、足を使った運動をする以外にありません。ヘソ下3寸と表現されるこの場所に力がなくなると、同時に腎も弱り、冷えが侵入する隙(すき)をつくることになります。また、腎は五臓六腑全ての土台となるため、腎がしっかりしていないと、他の内臓にも直接影響が及びます。肝腎要(今は肝心と書くようになりました)と言う言葉には、我々が知らない深遠な意味があるようです。
以上、三つの臓器と運動の関係について考えてみました。足を鍛えることが大切であることは、年齢を重ねるにつれて実感します。若い頃は足が衰えることもなく、内臓も若さを保っているため、足を鍛えることの必要性に駆られることは少ないと思います。しかし、30歳台→40歳台→50歳台と年を経るにしたがって、足の衰えを実感するようになり、ウォーキングなどの運動をする人も増えていきます。生理痛・子宮トラブルに悩んでいる方は、そうでない人以上に若いうちから足を鍛える必要があります。「老化は足から」という言葉と同時に、「生理痛・子宮トラブルは足から」の言葉も併せて覚えておいて欲しいと思います。
(今回も、私自らの不摂生を猛反省しながら述べてみました。)
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