不正出血-即効性を目指す鍼灸

Ⅰ社会通念的な考え方

生理の他で生殖器から血が出る現象を、不正出血と称します。血液そのものの状態もあれば、紅色、桃色、茶色っぽいオリモノまで、それらは総じて不正出血の範疇に入り、排卵の時期を除いては、問題がある場合も含めて疑うのが原則です。

アンダーウエアに付着したおりものの色、トイレットペーパーに付着した色、便器に付いたものを目視しただけでは、不正出血か否かは判断できません。生殖器以外からの可能性も、あり得るからです。また、生殖器からの出血だったとしても、具体的に何処からの出血かは判別できません。従って、出血がある際は、血の量、かたまっているか否か、どの程度の期間か、どんなタイミングで生じたのか、また生理との関連、痛みがあるかないかを書きとめて、当該病態が出ている最中に医療機関に行くのが基本です。その方が、具体的な部位を特定しやすくなります。

生理と生理の間に僅かな出血がみられ、時々重くない下腹部痛や臀部の側に脹る感覚がする例があります。この現象は排卵の頃に散見されるために中間出血と称し、異常とはいえません。基礎体温をつけた結果、出血後に体温が高くなって、血も引けば、中間期出血である可能性が高いわけです。

この病態の多くは、性ホルモンの問題によって現れる機能性子宮出血です。10歳代後半から20歳代前半の人や、40歳代の場合は、卵巣の機能が十分ではないために排卵が起きなかったり、排卵はあっても黄体ホルモンの働きが弱く、サイクルがくるったり、生理が長く続いたりします。

若年層については成熟するとともに変わってきますので、貧血などがあらわれなければ、必要以上に心配することはありません。40歳代は子宮がんの可能性を疑う時期でもあり、治療を要するホルモンの問題がみられる場合も多いので、できるだけ早く医療機関に行きましょう。

性交後に少ない量の出血がみられる場合も、おりものに極めてうすい桃色が付着した際は医療機関に行って、原因を特定しましょう。

この症状とともに下腹部痛がある際は、妊娠関連の症状が疑われるケースも多いため、受診が必要でしょう。スケジュールしていた生理が来ていなかったり、すぐ前の生理の量が通常より少量だったケースでは、注意が必要です。下腹部痛がハッキリとある場合や、血の量が多いときも受診が必要です。

閉経した後におりものに血が混入するのは、ホルモンの分泌が弱くなっているために、生殖器の自浄作用が低下しているためです。当初は黄色のおりものが多いですが、そのままにしておくと血液が混じることも多いです。この場合も受診しましょう。

まれに血液の病気が原因で出血が起こりやすく、性器出血が持続するケースもあります。全身状態にも配慮して、少ない量でも出血が止まらない場合は受診が必要でしょう。

Ⅱ東洋医学的な鍼灸の立場から
東洋医学では、突発的なものやダラダラと持続するものを総称して崩漏といいます。崩漏も、固摂機能(固めて漏らさない働き)の弱体化が基本的な原因と考えます。これらの場合、血熱・腎虚・脾虚・血瘀などに区分されます。

(1)腎虚(生命力の土台の弱り)
腎は固摂機能(固めて漏らさない働き)をつかさどるため、腎の生命力が弱くなると、封の開閉(お風呂の栓の働き)がスムーズに行かなくなるため、この症状を起こしやすくなります。
鍼灸で使用するツボ:腎兪、照海、太渓、復隆、陰谷など

(2)脾虚(消化器の生命力の弱り)
消化器の生命力が弱くなると、気血の発生がスムーズにいかず、生殖器の収縮の働きが衰退し、血を止める機能が弱くなる例があります。
ツボ:脾兪、足三里、陰陵泉、太白、胃兪など

(3)血熱(不必要な熱を捌けない)
体質的な素因として熱を捌く機能が弱かったり、欲求不満が爆発して体内に熱が発生した場合、血熱が異常亢進するため、血が止まりにくくなります。灸ではなく、鍼の適応です。
ツボ:腎兪、肝兪、胆兪、太衝、行間など

(4)血瘀(不要物がたまって滞る)
ストレスが長く継続すると気が滞り、血も滞るため(気は血の帥)、血が経脈を塞ぎ、出血しやすくなります。
鍼灸で使用するツボ:三陰交、次髎、上髎、中髎、関元、中極など


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