陰虚(いんきょ)タイプ

陰とは余計な”ほてり”を冷ます生命力のことをいい、陰虚(いんきょ)とは、その生命力が足りない体質・症状などのことを指します(一種の虚弱体質)。

しかし、実際には”ほてり”と冷えが同時進行することが多いため、(お客様に説明する際には)陰虚という呼び名よりも陰陽両虚(いんようりょうきょ)と呼んだ方が、現実を反映しているかもしれません(陽虚とは温める生命力が足りないことを指します)。

陰虚(いんきょ)タイプの場合、上半身などに不快な”ほてり”が出て、かといって下半身は冷えるなど、熱分(温)の配分がおかしくなり、自律神経失調症のような困った状態になります。




以下のような症状について、すべてが当てはまることはありませんが、陰虚(いんきょ)タイプの方はいくつかの項目にお心当たりがあるのではないでしょうか?

(陰虚タイプの症状や特徴など)

(養生法)

ツボの選択

鍼灸施術によるアプローチ



陰虚(いんきょ)タイプの症状や特徴など)

(ア)腎虚の症状がある。

陰虚(いんきょ)の正式名称は腎陰虚(じんいんきょ)です。腎は陰陽の(すみか)と表現します。陽(身体を温める力)・陰(余計なほてりを冷ます力)が宿る臓腑は腎…という意味です。




(イ)夜、寝る時に足の裏がほてり、布団や毛布の外に出してしまう。

五心煩熱(ごしんはんねつ)といいます。五心とは、(掌×2)+(足の裏×2)+胸=5です。煩熱とは、(わずら)わしい”ほてり”のことをいいます。




(ウ)微熱が出やすい。

陰虚(いんきょ)の特徴です。



(エ)喉が不自然に渇きやすい。
水が足りないことから起こります。水とは単なる水分ではなく、生命維持に必要な(うるお)いを指します。



(オ)尿が濃い色(ビール色、濃い黄色など)になりやすい。

虚弱な部分があるため、不必要な熱を(さば)けていない場合の色です。




(カ)舌が真っ赤っか。または、舌の上の(こけ)状の付着物が黄色い。

”ほてり”を潤して(きよ)めることができていない印です。




(キ)脈が速い。

身体が異常亢進しやすいため、脈も速くなりがちです。



(ク)風邪の時に、喉が赤く()れやすい。

陰虚(いんきょ)タイプの特徴です。




(ケ)冬でも冷たい飲み物を好む。

不必要な”ほてり”の方が不快な場合は、冷たい飲み物を欲します。陰虚(いんきょ)タイプの人でも、冷えの方が気になる場合は、温かい飲み物を欲します。




(コ)頬が赤くなりやすい。

上半身がほてって、下半身が冷えたりもします。



(サ)就寝中に寝汗をかく。

盗汗(とうかん)といい、陰虚(いんきょ)の特徴です。昼間の活動中の汗とは、意味が異なります。



(シ)体が(かゆ)くなることがある。




(ス)肌がカサカサになりやすい。

水が足りない人の特徴です。水とは単なる水分ではなく、生命維持に必要な潤いを指します。腎は水を(つかさど)る臓腑。1五行


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(養生法)

(ア)全てに共通する養生法を実践する。

こちらをごらんくだい。




(イ)腎虚タイプの養生法を実践する。

このタイプは、腎虚の中に入ります。




(ウ)陰を補う飲食物を摂る。

スッポン、ピータン、オオムギ、タコ、カニ、アサリ、昆布、海苔、ひじき、わかめ等。


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ツボの選択
 基本的に腎虚タイプと同じですが、お灸よりも金属粒を貼付する方が無難かもしれません。
 お灸を()えた場合、ほてりが悪化する可能性も排除できません。


鍼灸施術によるアプローチ

(1)ヒトは温める機能と、ほてりを冷ます機能がバランスをとることによって成り立っています。

バランスが崩れると、必要な部分を温められず、不必要な部分がほてることになり、”ほてり”と冷えが同時進行することが多くみられます。

「温める働き」と「ほてりを清める働き」のアンバランスが起こる。
   ↓
清めるべき部分と温めるべき部分が逆になってしまい、生命状態に異常が生じる。
   ↓
心身の(ほころ)びを修復できなくなり、様々な症状として出現する。
(その人の弱い所に出てくるため、症状は千差万別)





    


(2)ツボを通して五臓六腑(ごぞうろっぷ)に刺激を与える。

ツボ

腎の臓、膀胱の腑

他の臓腑(五臓六腑(ごぞうろっぷ))

ツボとは、経絡(けいらく)(エネルギーのルート)を通して五臓六腑に通じるアプローチ・ポイント(正式名称は経穴(けいけつ))



(甲)足の少陰腎経(あしのしょういんじんけい)
→ツボを通して腎の臓へ通じるエネルギーの通り道(=経脈(けいみゃく)

(乙)足の太陽膀胱経(あしのたいようぼうこうけい)
→ツボを通して膀胱の腑へ通じるエネルギーの通り道(=経脈(けいみゃく)

経脈(けいみゃく)(甲)と経脈(けいみゃく)(乙)を横に繋ぐルート=絡脈(らくみゃく)

経脈(けいみゃく)絡脈(らくみゃく)経絡(けいらく)


    


※施術が奏功すれば…

(3)五臓六腑(ごぞうろっぷ)が活性化 して
→”ほてりを清める働き”と”温める働き”のバランスが保たれる




    


(4)体の中を気血(きけつ)が巡り、不必要なほてりを清め、冷えている部分が温められる。



    


(5)本来の生命状態になり、元気が出て自然治癒力が復活。当該症状(または部位)を修復する。




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