エネルギーのルート(経脈(けいみゃく))

 東洋医学では人体解剖で確認できないモノも含め「存在する」と考えます。それは解剖学を軽視している訳ではなく「モノとしては存在しなくても、機能としては存在する」と考えているのです。
 丹田(たんでん)などはその代表例です。ここでは、そのうちの経脈(けいみゃく)(=エネルギーのルート)に焦点を当てています。

正式な経脈(けいみゃく)(エネルギーのルート)は12存在します。

(1)手の太陰肺経(てのたいいんはいけい)
   ↓
(2)手の陽明大腸経(てのようめいだいちょうけい)
   ↓
(3)足の陽明胃経(あしのようめいいけい)
   ↓
(4)足の太陰脾経(あしのたいいんひけい)
   ↓
(5)手の少陰心経(てのしょういんじんけい)
   ↓
(6)手の太陽小腸経(てのたいようしょうちょうけい)
   ↓
(7)足の太陽膀胱経(あしのたいようぼうこうけい)
   ↓
(8)足の少陰腎経(あしのしょういんじんけい)
   ↓
(9)手の厥陰心包経(てのけついんしんぽうけい)
   ↓
(10)手の少陽三焦経(てのしょうようさんしょうけい)
   ↓
(11)足の少陽胆経(あしのしょうようたんけい)
   ↓
(12)足の厥陰肝経(あしのけついんかんけい)
   ↓
(1)手の太陰肺経へ戻る


 上の12の経脈(けいみゃく)は、交通に例えると地下鉄に相当します。つまり、丸ノ内線を手の太陰肺経(たいいんはいけい)と呼び、都営新宿線を手の陽明大腸経(ようめいだいちょうけい)と呼んでいるようなものです。
 そして、その地下鉄である丸ノ内線(経脈(けいみゃく))と都営新宿線(経脈(けいみゃく))をつなぐ通路を絡脈(らくみゃく)と呼び、経脈(けいみゃく)絡脈(らくみゃく)を合わせて経絡(けいらく)といいます。
 ツボは正式名称を経穴(けいけつ)といい、地下鉄上に位置する駅を意味します。つまり、地下の鉄道と交わることができるのが、駅であるツボ(経穴(けいけつ))と考えてよいでしょう。
 ここでは、地下鉄に相当する経脈(けいみゃく)に焦点を当てて説明いたします。



巷では簡略化された図が出回っていますが、実際はもっと複雑です。

(12のエネルギーのルート)
以下のようなエネルギーのルートを流注(るちゅう)といいます。

(1)手の太陰肺経(たいいんはいけい)
参考:肺虚タイプ

(本流)
胃の辺りでスタート大腸と連絡する胃を巡る肺に属す上肢の内側前方を指先に向かって下る親指に終わる
(支流)
手首の辺り(2)手の陽明大腸経につながる

(2)手の陽明大腸経(ようめいだいちょうけい)
参考:肺虚タイプ
      
(本流)
人さし指からスタート上肢の外側前方を上る鎖骨の辺り肺と連絡する大腸に属す
(支流)
鎖骨の辺り下の歯鼻の下で交差する(3)足の陽明胃経へ

(3)足の陽明胃経(ようめいいけい)
参考:脾虚タイプ

(本流1)
上の歯下顎顔面
(本流2)
鎖骨の辺り腹部鼠径部大腿部外側前方膝(前外側)(すね)(前外側)足指の付け根足の第二指
(支流1)
下顎鎖骨の辺り横隔膜脾と連絡胃に所属鼠径部大腿部前外側膝(前外側)(すね)(前外側)足の第三指
(支流2)
足指の付け根足の第一指(4)足の太陰脾経へ

(4)足の太陰脾経(たいいんひけい)
参考:脾虚タイプ
 東洋医学でいうところの()の臓とは、解剖しても出て来ない架空の臓腑(ぞうふ)です。西洋医学でいうところの脾臓とは全く意味が異なります。
 東洋医学独特の考え方ですが「モノとしては存在しなくても、機能としては存在している」とみなし、架空の形態を想像します。
 昔の人は、脾と胃の関係を「手足を動かすと、脾が動いて胃を()む」と表現しています。
 意味は「体を動かすと脾と胃がセットで動き、消化吸収を促進する」ということです。
 脾胃(ひい)を無理矢理に西洋医学に当てはめると「胃腸機能をつかさどるもの」といえなくもありません。
 しかし、腰痛や下肢痛などのお客様(胃腸はいたって健康)の脾胃(ひい)のツボに施術すると、腰痛や下肢痛などが改善する実例をみると、それほど単純な話ではありません。
 臓腑に問題はなくても経絡(けいらく)(エネルギーの流れ)に問題が生じれば、経絡(けいらく)の通り道にある筋組織.神経組織などに影響が及び、痛みやしびれとなって発症する可能性がある、ということでしょう。


(本流)
足の第一指内くるぶしの前すね(内側前方)大腿部(前内側)腹部()に所属胃と連絡横隔膜のど
(支流)
横隔膜(5)手の少陰心経へ

(5)手の少陰心経(しょういんしんけい)
参考:心虚タイプ

(本流1)
心の臓に起こる(心の臓に所属する)横隔膜小腸と連絡する
(本流2)
心の臓上肢の内側後方小指(6)手の太陽小腸経へ
(支流)
心の臓のどの辺り

(6)手の太陽小腸経(たいようしょうちょうけい)
参考:心虚タイプ

(本流)
小指上肢の後方を上る肩や肩甲骨鎖骨の辺り心の臓と連絡小腸に所属
(支流1)
鎖骨の辺り目じり耳の中
(支流2)
目がしら(7)足の太陽膀胱経へ

(7)足の太陽膀胱経(たいようぼうこうけい)
参考:腎虚タイプ

(本流)
目がしら頭頂(うなじ)肩(後面)背中腎と連絡膀胱に属す
(支流1)
頭頂
(支流2)
腰.肩(後面)臀部下肢外側後方及び後方膝の裏ふくらはぎ外くるぶしの辺り足の第五指(小指)(8)足の少陰腎経へ

(8)足の少陰腎経(しょういんじんけい)
参考:腎虚タイプ

(本流)
足の第五指(小指)足の裏内くるぶしの辺り下肢の内側後方腎に属す膀胱と連絡する横隔膜のど舌の辺り
(支流)
(9)手の厥陰心包経へ

(9)手の厥陰心包経(けついんしんぽうけい)
参考:心虚タイプ
 心包(しんぽう)とは架空の臓腑であり、解剖しても出てきません。心の臓を護るために、外衛(クッション)として存在していると考えられています。
 東洋医学は経絡(けいらく)丹田(たんでん)などと同様に、解剖しても出てこないモノにも着目しています(機能としては存在している)。
 無理矢理にあんパンに例えて説明すると、本丸は心の臓であり、その外側に位置して心の臓を護る役目を果たしているのが心包(しんぽう)です。


(本流)
心の臓心包に属す胃の辺りへその下の辺り
(支流1)
上肢の内側中央中指
(支流2)
薬指(9)手の少陽三焦経へ

(10)手の少陽三焦経(しょうようさんしょうけい)
参考:心虚タイプ
 三焦(さんしょう)とは、心・肺(上焦(じょうしょう))、脾胃(ひい)(中焦(ちゅうしょう))、腎・肝(下焦(かしょう))を巡って、臓腑(ぞうふ)の調整をする機能のことをいいます。
 これも(9)心包(しんぽう)と同様に架空の()であるため、解剖しても出てきません。


(本流)
薬指上肢外側中央手の甲鎖骨の辺り心包と連絡三焦に所属する
(支流1)
鎖骨の辺り(うなじ)耳の後側耳の上
(支流2)
耳の後側耳の中耳の前目尻(11)足の少陽胆経へ

(11)足の少陽胆経(しょうようたんけい)
参考:肝虚タイプ

(本流)
目尻こめかみの辺り耳の後ろ鎖骨の辺り横腹股関節下肢外側中央足の甲足の第四指
(支流1)
耳の後ろ目尻下顎の辺り鎖骨の辺り横隔膜肝と連絡胆に所属股関節
(支流2)
足の甲足の第一指(12)足の厥陰肝経へ

(12)足の厥陰肝経(けついんかんけい)
参考:肝虚タイプ

(本流)
足の第一指下肢内側中央生殖器胃の辺り肝に所属胆と連絡横隔膜のどの辺り頭頂
(支流1)

(支流2)
横隔膜(1)手の太陰肺経へ

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